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矢野経済研究所は国内の業務用食品市場に関する調査結果をこのほど公表した。調査期間は2021年8〜11月。調査対象は食品メーカー、業務用食品卸売業者、業務用食品ユーザーである宿泊事業者や飲食店、惣菜メーカー等。調査結果の概要は下記の通り。
2020年度の業務用食品(32品目)の市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比89.5%の1兆3400億6200万円となった。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大により、特に外食市場が2割ほど落ち込んだほか、在宅勤務が実施されたことで事業所給食向けの需要が減り、学校の休校で学校給食向けも減少した。
その中で比較的好調だったのは高齢者向け給食。高齢者向けの在宅配食サービスは高齢者数の増加やサービスの認知度の向上により、高齢者施設給食も高齢者施設の新設需要に支えられて堅調に推移している。今後も、高齢者向け給食での業務用食品需要は拡大する見込み。
また、家庭で食事を食べる機会が増えた(内食化が進んだ)ことで、一般消費者が購入する家庭用(市販用)食品の原料や食品スーパーで販売されている惣菜が好調となっており、これらの原料となる業務用食品は比較的堅調に推移している。例えば、惣菜用の「冷凍餃子」やスーパーで販売する惣菜の味付け用途の「焼肉のたれ類」などの業務用食品の販売が伸びる結果となった。
業務用食品の動向としては、調味料(マヨネーズ類やソース類等)で小袋の商品の需要が高まった。小袋はテイクアウトや宅配商品で使用されるほか、新型コロナウイルスの感染対策から飲食店の店舗内でも使用されている。
また、新型コロナウイルスの感染状況の変化により業務用食品の需要量が変化することで、飲食店では在庫管理が難しくなっていることや、一般消費者が購入する家庭用(市販用)食品でも備蓄志向が強まることで原料向けの需要が拡大し、日持ちのする商品の需要が高まっている。従来よりも日持ちのする商品は食品ロスの削減にも貢献できるため、今後も好調が期待できる。
その他、調理済み冷凍食品や調理品(レトルト食品等)のカテゴリでは、引き続き人手不足や調理経験の浅い人材採用などの課題を抱える調理現場において、加工調理作業を簡便化できるアイテムとして需要がある。一方、一部の外食企業や飲食店では出来合いの製品を提供することに抵抗感があるほか、調理済み冷凍食品や調理品(レトルト食品等)であっても、独自にひと手間を加えたメニューを提供していきたいというニーズもある。業務用食品メーカーでは、こうした外食企業側のニーズにも応えられるようにしている。
2021年度の業務用食品(32品目)の市場規模は、前年度比102.9%の1兆3794億3700万円になると予測。2021年度もコロナ禍の影響が続いており、2019年度以前の市場規模にまで回復するにはまだ時間がかかるとみられる。
主要な需要先である外食市場については、緊急事態宣言の解除とともに人流が戻ってきていることから、徐々に回復してきている。また、一般消費者が購入する家庭用(市販用)食品の原料向けや給食向けなどの業務用食品は引き続き堅調に推移する見通し。
プレスリリースは こちら
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